Quarto の使い方

文章とプログラムの記述

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村田 昇

Quarto とは

Quarto の概要

  • Pandoc を利用した出版システム
  • 文章とプログラムをまとめて記述
  • レポート,スライド,Webページを簡単に作成
  • R 以外の言語 (Python や Julia) も利用可能
  • R Markdown 形式の後継

Quarto の構造

  • 3つの領域から構成
    YAMLヘッダー
    文書全体の体裁を整えるための設定を行う
    コードチャンク
    プログラムを記述する
    テキスト
    markdown形式で文章を記述する

YAMLヘッダー

  • 文書の先頭に置く
  • ------ の間に必要な事項を記述する
  • 最も簡単な例は以下のとおり

    ---
    title: "この文書のタイトル"
    format: html
    editor: visual
    ---
    
    • 出力フォーマットは HTML(webページ)
    • エディタは visual モードを利用

コードチャンク

  • 文書中の必要な場所に置く
  • Rの場合 ```{r}``` の間にコードを記述する
  • 例えば以下のように記述する

    ```{r}
    sigmoid <- function(x, a = 1){ # シグモイド関数を定義する
        y <- 1 / (1 + exp(-a * x)) }
    ```
    

テキスト

  • 一般的な markdown 文法で解釈される
  • 数式はTeXの基本的な記述を理解する
    • テキスト中は $ 数式 $~,独立した表示は ~$$ 数式 $$
  • 以下は数式の記述の例である

    正規分布は $\mathbb{R}=(-\infty,\infty)$ 上の確率分布で,
    平均 $\mu$ 分散 $\sigma^{2}$ である分布の密度関数は
    $$
    \phi(x) = \frac{1}{\sqrt{2\pi\sigma^{2}}}
                e^{-\frac{(x-\mu)^{2}}{2\sigma^{2}}}
    $$
    となる.
    

RStudio での利用法

Quarto ファイルの作成

  • 左上の ボタン(または“File/New File”)を開く
  • “Quarto Document” を選択する
  • ダイアログに必要な情報を記入する
    • 文書の “Title/Author” の設定
    • フォーマットの選択 (HTML/PDF/Word)
      • 講義ではHTMLを利用
  • “Create” をクリックするとファイルが作成される
    • “Create” は雛型の文書付き
    • “Create Empty Document” はYAMLヘッダーのみ
      • 慣れたらこちらで

エディタの設定

  • Quarto ファイルは左上のペインに表示される
  • 左上の “Source/Visual” ボタンでモードが変わる
    • Source : 装飾なしのテキストエディタ
    • Visual : Markdown 記法に従った装飾ありの表示
  • 各モードでの注意
    • Visual モードは GUI を利用して装飾を変更する
    • History 機能は現在 Source モードでしか機能しない

コードの入力と実行

  • コードを入力するにはチャンクを作成する
    • 入力したい箇所にカーソルを移動
    • 上枠の +C (緑)ボタン(または“Code/Insert Chunk”)をクリック
  • 歯車 ボタンで実行時の出力先を設定する
    • “Chunk Output Inline” : エディタ内に出力
    • “Chunk Output in Console” : コンソール内に出力
      • 講義ではコンソールを利用
  • 実行法にはいくつかのオプションが用意されている
    • (緑) : チャンク内を実行
    • : そのチャンク以前を実行
      • カーソル位置のみ実行することも可能
      • ショートカットキーも用意されている

出版

  • 全体をまとめて整形することができる
  • 歯車 ボタンで出力時の挙動を設定する
    • “Preview in Window” : ブラウザに表示
    • “Preview in Viewer Pane” : RStudioのViewerペインに表示
      • 講義では Viewer を利用
      • Viewer の上の左から2番目のボタンでブラウザに送ることは可能
  • Quarto と同じ場所にファイルは保存される
    • フォーマットによって拡張子が異なる
    • 付加的なファイルは “ファイル名 + files” に保存される
    • 単一のファイルにするにはYAMLヘッダーで以下を宣言する

      ---
      format:
        html:
          self-contained: true
      ---