信号処理 - 第6講
(Press ?
for help, n
and p
for next and previous slide)
村田 昇
ベクトル空間
線形演算について閉じた空間
内積空間
内積が定義されたベクトル空間
Hilbert 空間
ノルムに関して完備な内積空間
定理
可分な無限次元Hilbert空間には 可算個の要素からなる完全正規直交系が存在する.
定理
可分な無限次元Hilbert空間は l2 空間と同型である.
定理
{ϕk} が H の完全正規直交系のとき 以下が成り立つ.
∀u∈H⇒u=∑k⟨u,ϕk⟩ϕk
定理
f∈L2(−π,π) は 以下のように Fourier 級数展開 される.
f(x)=∞∑n=−∞⟨f,ϕn⟩ϕn(x)ϕn(x)=1√2πeinx,n=0,±1,±2,…内積は f,g∈L2(−π,π) に対して 以下で定義する.
⟨f,g⟩=∫π−πf(x)¯g(x)dx
以下が周期 T の直交系となるように α を定めよ.
{eαinx,n=0,±1,±2,…}
以下を内積とするとき前問の直交系を正規化せよ.
⟨f,g⟩=∫T2−T2f(x)¯g(x)dx
周期 2π の場合 (x∈[−π,π] で考えよ)
正規直交系 :
ϕn(x)=1√2πeinx,n=0,±1,±2,…
周期 T の場合 (x∈[−T2,T2] で考えよ)
正規直交系 :
ψn(x)=1√Te2πinxT,n=0,±1,±2,…
周期 T の場合
Fourier 級数展開は以下で与えられる.
f(x)=∞∑n=−∞⟨f,ψn⟩ψn(x)=1T∞∑n=−∞e2πinxT∫T2−T2f(y)e−2πinyTdy
極限操作のための書き換え
ここで 2πT=Δ とする.
f(x)=Δ2π∞∑n=−∞einΔx∫πΔ−πΔf(y)e−inΔydy
周期無限大における積分
T が十分大きい(Δ が十分小さい)極限を考えるために, 以下の積分を定義する.
ˆf(ω)=1√2π∫∞−∞f(y)e−iωydy
級数和の近似
Fourier 展開の積分部分は √2πˆf(nΔ) で十分良く近似できると考え Riemann 和の形で書く.
f(x)≃1√2π∞∑n=−∞einΔxˆf(nΔ)Δ
区分求積法
Riemann 和は nΔ→ω, Δ→dω として積分で表される.
∞∑n=−∞g(nΔ)⋅ΔΔ→0→∫∞−∞g(ω)dω
周期無限大における表現
f(x)=1√2π∫∞−∞ˆf(ω)eiωxdω(反転公式)=12π∫∞−∞∫∞−∞f(y)eiω(x−y)dydω
定義
R 上の関数 f に対して
ˆf(ω)=1√2π∫∞−∞f(x)e−iωxdx(Fourier 変換)f(x)=1√2π∫∞−∞ˆf(ω)eiωxdω(逆 Fourier 変換)で定義する.
d次元の場合
Rd 上の関数 f について
ˆf(ω)=1√2πd∫∞−∞f(x)e−iω⋅xdx(Fourier 変換)f(x)=1√2πd∫∞−∞ˆf(ω)eiω⋅xdω(逆 Fourier 変換)で定義する. なお ω⋅x はベクトル ω∈Rd とベクトル x∈Rd の通常の内積である.
以下の積分値を求めよ.
∫∞−∞e−ϵx2dx
関数 Ξ を以下で定義する.
Ξ(a,b)(x)={1,x∈(a,b)0,それ以外
以下の関数の Fourier 変換を求めよ.
定義関数
関数 Ξ を以下で定義する.
Ξ(a,b)(x)={1,x∈(a,b)0,それ以外
代表的な例
関数 | Fourier 変換 |
---|---|
Ξ(−1,1)(x),x∈R | √2πsinωω |
e−ax2,x∈R | 1√2ae−ω2/4a |
1x−ia,x∈R,a>0 | √2πieaωΞ(−∞,0)(ω) |
1x+ia,x∈R,a>0 | −√2πie−aωΞ(0,∞)(ω) |
ax2+a2,x∈R,a>0 | √π2e−a|ω| |
step 1
関数 ˆf は各点で値が決まるが, 積分
1√2π∫∞−∞ˆf(ω)eiωxdωの値が存在するかどうかはわからない.
step 2
収束因子 e−ϵω2 を用いて以下の積分を定義する.
fϵ(x)=1√2π∫∞−∞ˆf(ω)e−ϵω2eiωxdω=12π∫∞−∞e−ϵω2+iωxdω∫∞−∞f(y)e−iωydy=12π∫∞−∞f(y)dy∫∞−∞e−ϵω2−iω(y−x)dω
step 3
指数の肩を整理する.
−ϵω2−iω(y−x)=−ϵ(ω+i(y−x)2ϵ)2−(y−x)24ϵ
step 4
ω の積分を行い fϵ を整理する.
fϵ(x)=1√4πϵ∫∞−∞e−(x−y)24ϵf(y)dy
step 5
関数 Gϵ (Gauss 核と呼ばれる)を
Gϵ(x)=1√4πϵe−x24ϵと定義し, fϵ を畳み込みで書き直す.
fϵ(x)=∫∞−∞Gϵ(x−y)f(y)dy=Gϵ∗f(x)
step 6
関数 Gϵ は以下の性質を持つことが 確かめられる.
- Gϵ(x)>0,∀x∈R
- ∫∞−∞Gϵ(x)dx=1
- ∀δ>0 limϵ→0∫|x|>δGϵ(x)dx=0
したがって Gϵ は ϵ→0 において Dirac のδ関数になる.
定理
f(x)=limϵ→0fϵ(x)=limϵ→01√2π∫∞−∞ˆf(ω)e−ϵω2+iωxdωより正確には f∈L1∩Lp であれば, 上の式は Lp の意味で成り立つと表現される.
limϵ→0‖